【徹底解説!】老後2000万円問題って?本当に2000万円で足りるの?
2024年4月9日 15:13
「老後2000万円問題」って?
金融庁 金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書をきっかけに世間で話題になった、いわゆる「老後2000万円問題」。
老後、標準的な生活を送るためには、公的年金以外に2000万円が必要となるという内容のもの。
報告書によれば、以下のモデルケースを想定して試算した場合、30年間で約2,000万円の取り崩しが必要になるという計算結果が出ました。
▼老後2,000万円問題の試算におけるモデルケース
- 夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯
- 夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間は夫婦とも健康である
- 毎月約5万5,000円、年間で約66万円が赤字になる
この場合、20年間で合計約1300万円の不足、30年間で合計約2000万円が赤字になると試算されています。
しかし2,000万円不足するのはあくまで前提条件通りになった場合で、皆が当てはまる数値ではないことに注意が必要です。
希望のライフスタイルによって、保有すべき老後資金は大きく異なります。
年々加速する物価の上昇、それに伴わない賃金ーーーー。
こんな近年の状況に、老後の生活費に不安を覚え始めた人も多いのではないでしょうか?
この記事では、老後2000万円問題についてわかりやすく解説し、本当に2000万円で足りるのか?など気になる疑問を徹底的に検証していきます。
老後に残るお金と、必要なお金の目安
1.高齢世帯の平均貯蓄額
「2019年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況 5 貯蓄、借入金の状況」によると、高齢者世帯の1世帯あたりの平均貯蓄額は1213.2万円でした。
多く感じるか少なく感じるかはそれぞれだと思います。
そして、2000万円以上の貯蓄があると答えた世帯の割合は18.6%と、約二割にも満たない結果となりました。
2.老後に得られる資金源
退職を迎えてからは老後の生活が待っています。
老後に得られる資金源は、一般的に以下のようなものが考えられます。
①退職金
例として、定年で退職をした場合の退職金の平均をご紹介します。
大卒、大学院卒(管理・事務・技術職) 1983万円
高卒(管理・事務・技術職) 1618万円
高卒(現 業 職) 1159万円
厚生労働省
「就労条件総合調査 / 平成30年_就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態」
退職時まであまり貯蓄がない・・・という方でも、退職金が入ることで一定の額の収入が得られることがわかります。
しかしながら、その退職金の金額も年々減少傾向にあります。
今のうちから、退職金に頼らない生活を心がけましょう。
②年金
老後に得られる資金ときいてパッと思いつくのが年金ではないでしょうか。
しかしながら「年金の保険料は支払っているけれど、実際に将来もらえる年金はいくらなのだろう?」とあまり把握していない人も少なくないのではないかと思います。
会社員や公務員の方であれば厚生年金、自営業の方であれば国民年金が支払われます。
(例)会社を退職し65歳から年金を受け取る場合
国民年金の加入期間が40年だと、年額777,800円
厚生年金の加入期間40年、年収が約720万円と仮定すると、国民年金に上乗せして年額約166万円
老後に得られる、一般的な資金をご紹介させていただきました。
退職金制度がない会社にお勤めの方や、個人事業主の方などはこれらを受け取ることができないので、より慎重に資産の計算をする必要がありそうですね。
そこで次は、実際に老後の生活にかかる費用を見積もっていきましょう!
老後の生活費、いくら必要?
老後にかかる生活費の目安は、個人の生活スタイルや健康状態、住んでいる地域などによってそれぞれ異なると思います。
ここでは、一般的な目安をご紹介します。
以下の金額はあくまで一般的な目安なので、ご自身の現状と比較し参考にしてみてくださいね!
▼月あたりの生活費
・住居費: 50,000円〜150,000円程度
・食費::30,000円〜70,000円程度
・交通費: 10,000円〜30,000円程度
・健康保険・医療費:10,000円〜30,000円程度
・生活必需品: 月額10,000円〜30,000円程度
・娯楽費: 月額10,000円〜50,000円程度
・通信費: 月額5,000円〜20,000円程度
・税金(所得税や住民税): 年間で数十万円〜数百万円程度
特別な支出:
・介護費用: 必要に応じて数十万円〜数百万円以上かかる場合があります。
・医療費の自己負担や健康管理費用の増加: 健康状態に応じて異なる
・旅行や趣味活動の費用: 年間で数十万円〜数百万円程度
全世帯の月平均支出額「約23.3万円」
総世帯の支出の平均額は月約23.3万円です。
支出の中で一番割合が大きいのは、食費で6万6678円となっています。次に交通・通信費の3万2432円、教養娯楽費2万1809円が続きます。
老後の生活費の目安を計算する際には、これらの項目を基準にして自身の状況に合わせて考えると良いでしょう。
また、日本は年々インフレしてきているため、そこも含めて余裕のあるプラン構築が必須ですね。
そして健康状態の変化なども考慮して、将来的な生活費の変化を予測してみましょう。
老後資金の心配を無くすためにできること
将来は不確定な要素も多く、考えれば不安になってしまうかと思います。
そのような不安を軽減させるために、私たちに今からできることをご紹介します。
老後資金の不安を軽減するためには、以下のような取り組みができるとよいでしょう◎
1.資金計画を立てる
自身や家族の生活スタイル、健康状態、将来のライフプランなどを一度考えてみましょう。
老後に必要な金額を逆算して、具体的な目標額を設定します。
明確なゴールがあったほうが、目標達成の難易度も格段に下がります!
2.積立投資
積極的に貯蓄や投資を行い、老後資金を形成定期することはオススメです。
定期預金や投資信託、株式投資など、リスクとリターンを考慮した適切な資産運用を行います。
今日があなたの一番若い日です!始める時期が早ければ早いほど、複利の効果が大きくなるので、早めにはじめるとよいでしょう。
3.健康管理
健康な体を維持することは、医療費や介護費の負担を軽減につながります。
定期的な健康診断ももちろんですが、
普段から、食生活に気を配ったりこまめに体を動かすなど、適切な生活習慣の維持が重要です。
4.専門家への相談
金融プランナーや税理士、弁護士などの専門家に相談し、老後資金計画を立てる際のアドバイスを受けるのも手です。
自身の状況や目標に合わせた適切なアドバイスを得ることができますよ!
「ご自身でできるか不安・・・」
という方は、プロの手を借りるのも一つの方法です。
おわりに
いかがでしたか?
もし公的年金だけで生活したいなら、今からそれが叶うほどの年金保険料を支払う必要があります。
また、個人事業主などの人々は、2000万円以上の金額を用意する必要性があります。
みなさまが充実した老後ライフに、この記事が一助できればうれしく思います!